

「海の手漕ぎボート釣り入門 体験記」の3回目はボートの選び方です。
ボートの保管方法
ボート置き場を確保する
ボートを選ぶ前に考えなくてはいけない事。
それは、ボートを置く場所を確保する事です。
自宅に置けるので問題ないという方は読み飛ばして下さい。
そうじゃない方は、マイボートを持つまでは茨の道になるかもしれません。
もし、保管場所を確保出来ないようであれば、マイボートを断念せざるを得ません。
とは言い過ぎかもしれませんが。
私が知っているのは神奈川県内の事情だけですので、限定された地域の事だけですが、出来る範囲内でお話をさせて頂きます。
神奈川県内にミニボートを保管してくれる施設は有りますが、数が少ないです。
あったとしても保管料がなかなか高い。
高いか安いかは人それぞれで捉え方は異なるでしょうが。
私としては、ミニボートにそこまでのお金は出せないというような金額です。
という訳で、安いところにお願いしたいとなると、空きが出るまで順番待ちをしなければいけない状況だったり。
また、ミニボートの置き場所は、ネット検索しても簡単に見つけられるものではないので、保管場所を確保するのはなかなか手間の掛かる作業になってくるかと思います。
ボート置き場の探し方
ボートの置き場として考えられるのは、ざっとこんな感じでしょうか。
- 自宅(駐車場・庭・倉庫・部屋の中)
- 民間の駐艇場
- マリーナ
- 海の近くの駐車場、浜辺の個人宅の空いたスペースなどを借りる
- 常時カートップ
- 常時車の中
- レンタル倉庫(ほとんどの倉庫は船具お断りかもしれません)
ちなみに私の場合はこんな感じで転々としてきました。
- 自宅アパート
- 民間駐艇場
- 漁師さんの係留場所を間借り
- 民間駐艇場
- 個人宅の庭先
- 個人経営のボート置き場
- 個人経営のボート置き場
最初は自宅。
その後はボートを買った際に、売り主さんから置き場所を紹介してもらったり、自分で現地に赴いて探しました。
そんな実体験から、保管場所を見つけるのに一番手っ取り早いのは、海辺を歩いて、それっぽいところを探し当てる事。
お住まいの地域にもよるところですが、自分の足を使って地道に探すしかないかと思います。
ちなみに私の現在の置き場所は、海辺の個人経営の駐艇場です。
駐艇場と言っても、単なる空地。
看板があるわけでもなく、更衣室が有るわけでもなく。
朽ち果てて、打ち捨てられたようなディンギーが転がっているので、もしかしてボートを置かしてくれるのかな?
そう思い、空地の隣に建っている家を訪ねて聞いてみたところ、ボート置いてもOKな場所だった。
という流れで見つけました。
それっぽい場所を見つけたら、声を掛けてみると良いかもしれません。
頼んで断られた事もあり、凹まされもしましたが、行動しない事には先へ進めません。
「海の手漕ぎボート釣り入門 体験記 はじめに心構え」でも書きましたが、とりあえず海に行ってみましょう!
そうそう簡単に望むような結果は得られないと思いますが、行動する事で確実に微速前進していくでしょう。
ボート選び
保管場所の目途が付いたら、やっとボート選びに入れます。
自分でボートを所有すると思うと楽しいのですが、ボートを選ぶのもなかなか大変な作業です。
- 保管場所の状況
- 材質
- 重さ
- 乗船人数
- 価格
自分のスタイルに応じて、以上考慮して選びます。
ハードタイプかソフトタイプか
ボートを選ぶ際、保管場所によって、所有出来るボートが制限される事を頭に入れておかなければなりません。
ボートの種類は大きく分けて、ハードタイプとソフトタイプ。
それぞれの特徴、メリット、デメリットを上げてみます。
ハードタイプ
- FRP製(一体型・分割式)
- アルミ製
- 樹脂製
特徴
喫水が深いので(船体が海中に沈む深さの程度)、風の抵抗に強い分、潮流の影響を受けやすい。
ねじ止めが効くので、艤装がやりやすい。
空気室が無いものは、浸水したら沈む。
メリット
準備と後片付けが楽。
ゴムボートに比べると、劣化を気にしなくて良い。
デメリット
重いので移動が大変。
置き場所に困る。
ソフトタイプ
- ゴムボート(インフレータブル)
特徴
葉っぱやアメンボウのように海面に乗るようにして浮く(喫水が浅い)。
FRP船と比較すると、喫水が浅いので潮流を受けにくいが、その分風の影響を受けやすい。
ハイパロンを配合したものは耐久性と耐候性が高い。
ハイパロンとは、摩耗、紫外線、オゾン、オイルに対して強い繊維素材です。
穴でも開いて空気が抜けない限り、絶対に沈まない。
メリット
折り畳めるので、自宅の押し入れにでも収納可能。
軽くて可搬性が高い。
デメリット
釣り場での準備と後片付け、帰宅してからも更にメンテナンス作業が必須。
- 本体への空気入れ
- 底板の設置
- 座板の設置
- オールの設置
- 使用後に本体の塩抜き
- 収納時のカビ対策
FRPに比べると、劣化の進行が速い。
穴が開きやしないかとの心配と気を使う。
実際に穴が開きやすい。
ざっと上げてみました。
以上を踏まえ、自分の置かれた環境と、好みで決めれば良い事かと思います。
と、そんな話で終わらせてしまうと身も蓋もないので、私自身の経験と感想を述べさせて頂きます。
ゴムボート(インフレータブル)
(画像:神奈川県三浦市側の和田長浜海岸)
私の場合は何も解らない状態でゴムボートを買って始めました。
ゴムボートだと保管場所を気にする必要がありませんからね。
気にする必要が無いと言うよりも、ボートを自宅以外の場所に保管するなんていう発想は有りませんでした。
ボートに興味を持っていた訳ではないので、大げさな事は考えませんでした。
ちょっと沖に出て、釣りがやりたいだけ。
それだけ叶えられたら満足です。
よって、悩む事なくゴムボートを購入するに至りました。
そんな事を思い返すと、初心者の方は、気軽に今すぐ始められるゴムボートを選択すると良いかもしれません。
いきなり、保管場所や維持費の事を考え出すと、手も足も出ないでないでしょうから。
とりあえずゴムボートを買って、いろんな場所に行ってみる。
釣りをしながら情報を拾いつつ、次のステップへ進みたければ進む。
ゴムボートでの釣りで満足出来るようであれば、それはそれで成功。
きっかけや足掛かりになり得るという事で、最初にゴムボートはベストかもしれません。
一体型ボート(リジット)
(画像:ボートエースGEB-23 自宅部屋)
一体型のボートは、保管場所をしっかり決めてから購入する事が必須です。
簡単に家の中に持ち込む事は出来ませんから。
マンションの上の階だったりすると、持ち込む事は不可能です。
分割式のボートだったらもしかしていけるかもしれません。
しかし、それも現実的ではありませんね。
そう言う私は、東京の家と家との間隔がほとんど無いような地域のアパートに住んでいながら、ボートエースを部屋の中に置いていました。
1階に住んでいましたが、アパートの目の前が駐車場で、行く手を阻む物が無かったので、特に苦労する事なく出し入れは出来ていました。
稀なケースだと思います。
そんな事が可能な物件に引越すというのも一考です。
どちらにも一長一短あり
先ほどゴムボートはベストと書きました。
が、何事も一長一短あります。
ゴムボートは収納性と可搬性に優れています。
その代わり準備と後片付けが大変です。
釣り場に付いたら、せっせと準備作業を始める。
釣りが終わると、後片付けを行い、帰ったら狭い風呂場でボートを水洗いする。
この作業はなかなか大変でした。
どうにかならないものかと考えあぐねていたところ、ボートエースを見つけました。
しかし、一体型のボートは置き場所が限られます。
部屋なんかに置くと邪魔でしょうがない。
それをクリア出来れば、準備と後片付けなどの煩わしい事から解放される事も可能です。
幸いにして、ボートエースが部屋の中へ持ち込めるという状況だったため、ゴムボートから買い換えるに至りました。
「さっきはゴムボートがベストと言ったじゃん?」
「ゴムボートとボートエース、どっちが良いの?」
と問われたら。
置く場所が有ったら絶対に一体型のボートを選びます。
参考までに。
一長一短も考え方次第
話が二転三転して申し訳ないですが。
一長一短の「一短」は、取り組み方や考え方次第でどうにかなるものです。
ゴムボートは準備と後片付けが面倒臭いです。
これは間違いない事。
私もゴムボートで釣りを始めた頃は、早く海に浮かびたい!
終わったらサッサと帰りたい!
そんな感じだったので、準備や後片付けの時間がもどかしいやら勿体ないやらと感じていました。
なるべく「早く」「楽」をしたいという考え。
そんな考えでゴムボートからボートエースに買い換えました。
今はと言うと、海に到着したら、海況を眺めながらのんびり準備を始め、落ち着いて出船する。
釣りが終わったら、また海を眺めつつ、1~2時間掛けてゆっくりと後片付けを楽しむ。
なんて感じでやっています。
日々忙しくしている人は、「そんな悠長な事はやってられない!」なんて思うかもしれませんが。
逆に、悠長に準備や片付けを楽しめるようになれば、デメリットを楽しさに変換出来るかもしれません。
ボートの最大搭載人員
(画像:ボートエースGEB-23)
ボートには最大搭載人員が設けられています。
手漕ぎボートはだいたい2人までの物がほとんどかと思います。
(画像:ボートエースの甲板の様子)
このボートエースに2人で乗船した事は無いですが、最大2人乗船する事は可能だと思います。
が、2人乗船して、そこで釣りをする事は現実的ではありません。
怖すぎます。
(画像:アキレスの2人乗り用ゴムボートEC-521)
座板を外し、底板に直接あぐらをかいて座り、目の前に大き目のタックルケースを積載した状態です。
私の足と、タックルケースの間にチョコレートの箱を置くスペースが残るぐらいです。
(画像:エボシ305)
エボシ305は最大搭載人数2名ですが、その通り2名乗船可能です。
とは言え、やはり窮屈で、荷物を載せるのは工夫しなければなりません。
ボートエースGEB-23、アキレスEC-521、エボシ305とも、最大搭載人数2人となっていますが、実質搭載人数は1名と解釈したほうが良いかと思います。
最大搭載人数÷2=実際に釣りが出来る人数
となります。
船底の形状
ボートの船底形状(ハル)にはいくつかの形があります。
- 単胴船(モノハル)
- 双胴船(カタマラン)
- 三胴線(トリマラン)
それぞれの形状の特徴はザックリとですが下記のとうりです。
単胴船(モノハル)
波切り性が良い。
カタマラン、トリマランに比べると横の安定性が悪い。
横にユラユラ揺れやすい。
エボシ305はモノハルでV型。
しかし、後ろ側(スターン)は平底に近いので、安定性は良いです。
ボートエースはモノハルで平底。
だと思ったのですが、リョービのサイトではセミカタマラン構造(双胴タイプ)との記載がありました。
セブンイレブンはモノハルで丸型。
双胴船(カタマラン)
水との接触面積が大きいので、走行抵抗が大きい。
モノハルと比べると、横の安定性が高い。
横にユラユラと揺れにくい。
カタマラン構造の海上保安庁船(画像引用元:ウィキペディア)
唯一?カタマラン構造のラブミーテンダー12というボートがありますが、製造中止になるようです。
三胴船(トリマラン)
トリマランの外形の特徴としては、カタマランと似たようなものです。
水との接触面積が大きいので、走行抵抗が大きい。
モノハルと比べると、横の安定性が高い。
横にユラユラと揺れにくい。
ボストンホエラーはトリマラン。
ミニボートにお勧めなのは平底タイプ
ミニボートの場合は、モノハルのV型、平底、丸型かほとんどかと思われます。
数は少ないですが、トリマランもいくつかあります。
私がおすすめなのは、横揺れに強い平底に近いタイプです。
ただでさえ小さいサイズですから。
それが横にユラユラと揺られるのは怖いです。
横の安定性についてはゴムボートが最強かと思います。
全周に空気が入ったチューブが設けられているわけですから、横安定性は抜群です。
風に流されやすいので、あれよあれよと流されてしまいますが。
穴でも開いて空気が抜けない限り絶対に沈みません。
しかし、平底タイプは安定性が良い分、水の抵抗が大きいので、船速が遅くなるという事はお忘れなく。
前から後ろに掛けて、全体が丸型のハルは、片側に重心を掛けると、海水が入り込みかねないような勢いで傾きます。
ちょっと勢いを付けると、完全に水が入り込みます。
というわけで、ハルが丸型のものはお勧め出来ません。
自分自身で乗って一番安定性が良かったと思うのはゴムボートですが、次にトリマランのボストンホエラーです。
ボストンホエラーの横の安定性に関しては一切恐怖を感じた事がありません。
ごちゃごちゃ書いてしまいましたが、結局おすすめなのは、横揺れに強い平底に近いタイプです。
納艇までの期間
保管場所の目処が立ち、欲しいボートが決まったら、やっとボート購入へと進められます。
そこで気を付けて欲しい事が一つ。
FRPのミニボートを新品で買う場合、注文を受けてから制作に取り掛かるメーカーさんがほとんどだと思います。
納艇までには1~2ヶ月は要すると思って下さい。
まとめ
まず、保管場所を確保する。
保管場所が確保出来たらボートを選ぶ。
管理人がおすすめするのは、ハードタイプで、ハルは平底に近いもの。
新品のFRP船は納期が1~2ヶ月必要。
ボート選びは堂々巡りになるかと思います。

おわり